予算委員会の討論を行いました(3月11日)
議案第17号~第31号および第32号、34号、令和2年度さいたま市一般会計予算及び令和2年度各さいたま市特別会計予算、上下水道会計について、賛成の立場から討論しました。
今回の予算は、現さいたま市総合振興計画などの総仕上げとして、わが会派からの予算施策要望も反映していること、2021年、先の「新たなさいたま市の創造」に向けたさらなる成長・発展につながる事業予算が盛り込まれていることを評価しました。
以下、委員会所管別に留意すべき項目を含みあげます。
【総合政策委員会所管部分】
防災減災対策について。台風第19号災害対策調査特別委員会の提言を踏まえた予算案となっており、携帯電話を所有しておらず、防災情報の入手が困難な高齢者等へ電話・FAXで情報を配信するサービスを導入すること、防災ガイドブックに、女性の自主防災組織への参画、女性の避難所スペース・トイレの配慮など女性の視点を取り入れていただいたことは大いに評価できます。
本市の魅力発信について。2月22日に岩槻人形博物館・にぎわい交流館いわつきが開館しましたが、にぎわい交流館は、現状では情報発信が少数のパンフレットのみでは、地域の魅力を知り、まちの中へ足を運ぼうというには余りにも何も無さ過ぎます。回遊性を高めていくための更なる情報発信が必要であり、そのためにも多くの人が結集し、知恵を出し合い協働していくための協議会の早急な設置を望みます。
庁内でのSOGIハラスメントを含むセクシャルハラスメント、パワーハラスメント、その他のハラスメント対策について。現状、相談窓口での相談件数はゼロ、苦情処理委員会の開催件数もゼロとのことでしたが、次に述べる学校の事例からも庁内のハラスメントが全くないということは考えられません。個別対応ではなく窓口を有効に機能させるための取り組みの改善を要望しました。
【文教委員会所管部分】
学校教育について。人権に配慮した適応指導教室の呼称変更や「働き方改革」に関して、学校での17時以降の電話対応への周知や教員の研修の削減をおこなうこと。また、生涯学習については、今後NPO・大学・企業との積極的な連携を進めることが評価できます。
しかしながら、教師から教師、教師から児童へのセクシャルハラスメントが1件あったことについては重く受け止めて、今後、決して起きないような対応策の構築を望みます。トイレの洋式化に伴うみんなのトイレの増設や、男女の制服について議論の加速化。さらに、「第2期さいたま市教育振興基本計画」に伴い、人生100年時代の学びをサポートする生涯学習の専門家の養成、増員と会計年度任用職員の待遇改善について引き続きの検討を求めました。
国際芸術祭について。令和2年度もそのレガシーを引き継いでいくべきことを明確化して、必要に応じて予算化し継承していくことが必要です。
【市民生活委員会所管部分】
市民活動サポートセンターについて。新年度から再び指定管理者制度のもとで運営が行われることとなりますが、市民が積極的にまちのために活動を行うことを支援する施設として、より機能強化が図られることを期待。例えば、公共Wi-Fiや障害者団体のカフェ設置、男女共同参画との連携など、市民活動の拡がりにつながる施設の機能強化を求めました。そのためには、市民と行政との共同管理運営・運営協議会の充実が欠かせません。市民にとってより使いやすく、活動しやすいサポートセンターとして、指定管理者制度が位置付けられることを要望しました。
人権政策課と男女共同参画課が統合され、人権政策・男女共同参画課となりましたが、男女共同参画政策を執行する組織としては係相当ということでした。この位置づけは、SDGsを積極的に進めるとしている本市にとって、ジェンダー平等政策からの後退とも受け取られかねません。また、男女共同参画を進めて行くうえで欠かせないのが市民への情報の提供や、積極的な呼びかけです。年2回発行の男女共同参画情報誌はその役割を担うものです。年2回の全戸配布が4年前には年1回となり、新年度予算において全戸配布は無しとなりました。
市民意識調査等でも、まだまだ男女共同参画という言葉への認知度も低く、意識醸成ができているとは思えません。ホームページやSNSを利用することはもちろんですが、全戸配布の意義は依然としてあります。男女共同参画推進事業にかかる予算の6割カットは、ジェンダー平等の課題を軽視していると思わざるを得ません。この点も含め新年度において改めての検証と再考を求めました。
消費者行政については、消費者被害が少しずつ増えているとのことでありましたが、消費生活相談員16人態勢で、市民の方々のさまざまな相談にのり、被害を食い止める被害救済の事業を行っており、安心安全な市民生活がおくれるよう、引き続き業務にあたっていただくことを要望しました。
【保健福祉委員会所管部分】
本市の総人口は今後も増加が予想され、元気で活動的な高齢者を増やしていき、積極的な地域への社会参加の取り組みを進めること。だれもが安心して子供を産み育てることができる環境を整備し、児童虐待の予防や対策、ひとり親家庭の支援の充実が重要であることが共有されました。
その中で、自立支援給付等事業の重度障がい者の就労支援事業は来年度、現状の支援に加え、対象を二人増加と、支援の拡大は非常に評価できるものです。
また、特定教育、保育支援施設等運営事業の医療的ケア児の受け入れについて。ケア児の状況に応じての加配や施設の改修、改築費用など運営事業者と柔軟に協議することを評価し、今後市内への拡充に期待します。
その一方で、
1)原因による選定ではなく、身体障がい等があり常時失禁状態もしくは常におむつを使用しなければならない方への給付が必要と考えます。
2)ひとり親家庭高等職業訓練給付金等について。ひとり親家庭への補助に関して、必要としている家庭への認知度が低い現状です。貧困の連鎖を断ち切るためにも数値目標を立て、周知の徹底を求めます。
3)放課後児童クラブの整備に関して、子どもたちの過ごす環境の改善を教育委員会とともに前進させていくべきであり、来年度、新設を予定しているクラブにおいては、オリンピックや新型コロナウィルスの影響によって、遅延することなく整備実施を図る必要を強く訴えました。
【まちづくり委員会所管】
自転車政策について。わが会派でも注目している分野です。自転車道の整備が計画通り進められていることは評価されます。一方で、逆走を禁止する等さらなる安全面への配慮を求めました。また、スポーツサイクルの普及や民間のシェアサイクル事業の拡大により健康面から市民の幸せ、生活の質の向上を目指している点について評価します。
まちづくりの観点からも、最初にも述べた回遊性を高めるために、岩槻人形博物館を拠点とし、時の鐘や遷喬館など点在する集客スポットを裏小路でつなぎ付加価値を増していくことが求められます。また、土地区画整理事業については、延滞なく進められていることを評価。周辺地域住民へ、より丁寧な説明会を実施し、自分の住んでいる地域がどうなっていくのか、安全は担保されるのか等十分な情報伝達、配慮を求めました。
弱者を守る点からは、住宅確保要配慮者に対する居住支援策に期待する。増えていく高齢者の独居、障がいのある方が暮らしやすい社会を目指す一歩となるものと考えます。
上下水道について。委員会審査を了とし、今後とも市民生活の向上に資する取り組みを要望しました。